日本脳炎はアジアで広く流行している病気で、高温多湿な気候で、ブタなどを飼育し、蚊の発生しやすい水田のある地域に多く発生しています。温帯地域では夏期に、その他亜熱帯・熱帯地域では雨期に発生が多くなります。
日本脳炎は、フラビウイルス科に属する日本脳炎ウイルスによって引き起こされるウイルス感染症です。日本脳炎ウイルスはブタの体内で増殖し、蚊によってブタからブタにウイルスが伝播します(ブタ→蚊→ブタの流行)。一方ヒトは、ブタから感染した蚊に刺されて感染します(ブタ→蚊→ヒト)。ヒトからヒトへの直接感染はありません。ウイルスの媒介蚊は、主にコガタアカイエカ(コガタイエカ)で、多くのアジア諸国に生息しています。
ウイルスを保有する蚊に刺されても多くの人は症状が出ません。感染した人のうち、100人から1,000人に1人の割合で発病するといわれています。通常6~16日の潜伏期間の後、高熱、頭痛、嘔気、嘔吐がみられます。次いで、意識障害、けいれん、異常行動、筋肉の硬直などが現れます。重症例のうち50%が死亡するといわれ、生存者の30~50%に精神障害や運動障害などの後遺症が残るといわれています。
特別な治療法はなく、対症療法が行われます。
蚊に刺されないように注意しましょう
虫よけスプレーや蚊取り線香などを利用し、肌を露出しない服装を心がけましょう。特に蚊の発生が多い水田地帯やブタなど動物を飼育している地域では、防虫対策を忘れないで下さい。
1回目接種後、3~12か月間隔で追加接種(メーカーによる)
定期の予防接種を完了していても、予防接種の有効期間は3~4年といわれています。この期間を経過した後に、流行地域(特に農村部)に長期間渡航される方は、追加で1回接種し、以後3~4年ごとに接種することが勧められます。
タイに渡航予定がありその他のワクチン(狂犬病、デング熱等)の接種もご希望の方はタイで推奨される予防接種・ワクチン(成人)をご覧ください