2020年7月から始まったサミティヴェート病院の「子どもなんでも相談」に寄せられた質問とそれに対する病院からの回答をご紹介するシリーズ。ママの安心に少しでもつながればスタッフ一同とても嬉しく思います。
最近バンコクで数値の高い「PM2.5」に関するご質問が多く寄せられています。まとめてみましたのでご覧ください。
PM2.5などの大気汚染物質は、頭痛、喉の違和感、喘息発作のような短期的な影響と、肺や心臓の病気のような長期的影響を及ぼしますが、研究でよくわかっているのは長期的な影響のほうです。平均濃度が10上がると、心臓病が1.2倍になるといった指標で、高ければ高いほど危険ということはわかっていますが、逆にいくらまでなら安全という線引きはないのです。ですので、日本の環境省は望ましい基準値を1日平均35μg/m3以下(AQI*では70以下)とし、その倍の70μg/m3以上(同150以上)で注意喚起という暫定的な数値を提示しています。つまり、1日中AQIが150を超えているような日は、元気な人にとっても有害なので外での運動は控えましょうという意味です。4歳までの小さなお子さんでは、PM2.5によって気管支や肺の成長が停滞してしまう恐れがあるので、例えば普通の外出ならAQI150未満、走り回るなどの運動は100未満の時間帯を選ぶなど、大人よりも厳しい捉え方をしたほうが良いかもしれません。
ご存じの通り、タイは日本よりPM2.5が高い国です。特に乾季の1月から2月にかけてはAQIが150や200という極端に高い状態になりやすいです。曜日や時間帯で明らかな変動がありますので、外出はAQIが低い時間帯を選ぶといった注意が必要です。とはいえ、過度の自粛は咳や頭痛などの心因性の体調不良や、成人病の悪化を誘発しますから、公園散策を楽しむなどできるだけ開放的、健康的な雰囲気を心がけてください。ご自宅の窓は定期的に開けて換気した上で、エアクリーナーで大気汚染の影響を軽減されるようお勧めします。
鼻水がなぜ出るのかを考えますと、鼻水と一緒に体の外に出すべきものがあるからで、それは何かと言えば、PM2.5であり、花粉、ハウスダスト、ウイルスなのです。ということは、鼻水が出ている時に鼻水を止めようとする企ては、体の自然な反応を邪魔するのであまり良くないということになります。ですので、鼻を出しやすい状態にサラサラにしようと、去痰薬のカルボシステインを使うのはアリだと思います。
とは言え、鼻水の量が多すぎて、日常生活や睡眠に影響するようでしたら、抗ヒスタミン薬を使うしかないと思います。dimetappは抗ヒスタミン薬の中では結構強い作用があり、1歳未満のお子さんには使えないですが、5歳ということであれば眠気の副作用に注意しながら使われても結構です。鼻や咳がもし長引くようなら、薬のさじ加減を病院で調節してもらう必要がありますが、とりあえずということであれば、手持ちの薬で効果をみてください。お子さんが辛いようであれば、受診をオススメします。