タイ国保健省の発表によると、2019年1月1日~9月16日までの期間において、デング熱の感染者はタイ全国で89,157人、死者数は97人、バンコク都内では感染者が6,164人、死者数は3人となっています。
都心に住んでいても発症する、いわば身近な熱帯病。今回は当院での「日本人のデング熱罹患者数」からデング熱を見てみたいと思います。
ネッタイシマカやヒトスジシマカが媒介するデングウイルスの感染により起こる疾患です。蚊からヒトへ、ヒトから蚊への感染環を形成し感染が拡がります。
軽症のときはデング熱とよばれる一過性熱性疾患の症状を呈し、1週間ほどで後遺症もなく回復しますが、重症化すると血漿漏出と出血傾向を示すデング出血熱となります。重症化は熱が下がり平熱になりかけたときに起こるので注意が必要です。
サミティヴェート病院スクムビットにおける日本人の2017年1月~2019年9月の日本人デング熱罹患者数を在タイ日本国大使館の古市医務官に協力を頂き、集計しました。
年間の総罹患者数は
27名(17年)、49名(18年)、27人(19年9ヶ月間)。
9月末までの罹患者数を比較すると
14名(17年)、25名(18年)、27人(19年)。
2019年9月末現在、デング熱の日本人罹患者数が例年より多い傾向があります。他院で診断された方も含めますと実際はこの数以上の方が罹患していると思われます。さらに、この2年はピークが10月となっていますので、今年もこれからの時期、要注意です。
2017年1月~2019年9月のデング熱罹患者の男女比は男性70%、女性30%でした。また、年代別で患者が多かったのは40代、次いで30代でした。 輸血を要したケースは1件であったものの、死亡例はありませんでした。さらに、60%以上が入院して管理が必要と判断されていました。
ヒトスジシマカは日中に吸血活動が活発になる昼行性ですが、早朝と夕方が最もリスクが高いのが特徴。 壮年期の男性は、この時間帯に屋外での活動量が多いため罹患リスクが高いのではないかと推測されます。
とにかく予防が大切な病気です。デング熱を媒介する蚊は日中に活動します。蚊に刺されないように細心の注意を払いましょう。
デング熱の感染に気を付けたいのは、子ども、慢性病にかかっている人、高齢者とされています。 しかしながら統計上はタイではデング熱に感染し症状が出る人の8割が5歳~34歳と報告されており、今回ご紹介した当院の統計の傾向とも一致しています。
働く世代も注意が必要な熱帯病です。
Ministry of Public Health Thailand, Department of Disease Control-สถานการณ์โรคไข้เลือดออก ประจำสัปดำห์ที่ 37 ปี 2562(ข้อมูล ณ วันที่24 กันยำยน 2562)