手足口病は、発熱、咳、鼻水、嘔吐などの症状に加え、手、足、口に水疱性の発疹が出る感染症です。日本では夏季によく流行しますが、タイでは雨季をピークとし通年発生しています。タイの保健省は2018年、タイで注意すべき感染症の一つとして、この手足口病を挙げています。
手足口病は、エンテロウイルス71型やコクサッキーウイルスA16型など、いくつかのウイルスが原因となる、ありふれた急性ウイルス性感染症です。主に5歳以下の乳幼児を中心に流行し、風邪に似た症状に、手のひら、足の裏、口の中などに発疹が出ることが特徴です。一般的には、発熱からはじまり、軽いのどのや口の痛み、鼻水、食欲低下(口の痛みのため食べられない)などが大半で、ほとんどのケースが7-10日程度で自然に治ります。発疹はあとを残すことなく次第に消退します。
ただし、まれに髄膜炎や脳炎などの重篤な中枢神経系合併症を起こすこともあり注意が必要です。なお、タイ国における手足口病による死亡例は年間1-2件のみです。
手足口病の主な感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染の3つがあります。
感染から3-6日の潜伏期間のあと、発熱や咳、鼻水などの風邪のような症状と、その名の通り、手足、口の中の粘膜に2~3mmの水疱が出るのが特徴です。水疱は肘や膝、お尻にも出ることもあります。通常は7-10日程度で自然に回復します。
手足口病は、ウイルスに効く治療薬がありませんので、対処療法が基本です。解熱し、口の痛みがなくなり、しっかり栄養がとれるまでは自宅で安静にしましょう。
基本的には軽いタイプのウイルス感染ですが、まれに髄膜炎、急性脳炎などの重篤な合併症が心配されることもあります。また、他の細菌性の感染症を合併して発熱期間が長くなることもありますので、自宅療養中は注意深く子どもの観察をしてください。もし、高熱・頭痛・嘔吐や、けいれん、反応がなくなる、ぐったりしているなどの症状がみられる場合には、すぐに医師の診察を受けてください。
手足口病で口の中にできた水疱は痛みを伴います。この疾患でよく見られるのが、この口の中の痛みがひどく、食事や水分補給がうまくできない子どもです。口の中の痛みがひくまでは、食事を嫌がったり、つばを飲み込むのも嫌がることがあるかもしれません。その場合は無理に食べさせず、おかゆやうどんなどの、刺激が少なく柔らかい食事を冷まして与えたり、冷たいプリンやヨーグルト、アイスクリームなど食べられるものを選んですすめましょう。
脱水が重たい場合には入院して点滴で水分を補給することもあります。子どもが水分がうまく摂れずにぐったりしている場合は、脱水症の恐れがありますのですみやかに医療機関を受診しましょう。
手足口病は、症状がなくなった後も2~4週間は、便にウイルスが排出され続けます。子どもの排泄後の手洗いの徹底、またオムツを扱う大人も手洗いの徹底がとても大切です。
なお、生後3か月未満の赤ちゃんが手足口病に感染すると重症化しやすいので、赤ちゃんがいる家庭では特に兄弟間での感染に気をつけましょう。上の子が通っている幼稚園・保育園での手足口病の流行にも気を配っておきたいものです。
「子どもがまた手口足病にかかってしまって大変だった・・・」というママ友の話を聞いたことがありませんか?手足口病の原因となるウイルスにはたくさんの種類があります。一度手足口病にかかったとしても、次の流行時には違う種類のウイルスによって再び感染する可能性もあるのです。手足口病は2回以上かかる可能性がある病気ですので、日頃から予防のための手洗いをきちんとするようにしましょう。
手足口病に有効なワクチンは現在のところ開発されていませんので、予防が最善の策です。感染を防ぐために以下の点に注意しましょう。
いかがでしたでしょうか。
日々の手洗いや、タオルを共有しないといった感染対策がとても大切です。
感染症が流行りやすいタイの雨季は長いので大変ですが、手洗いは特にどんな感染症にも予防策として役に立つのでぜひ励行していきたいですね。