妊婦に対するRSウイルスワクチン(ABRYSVO/アブリスボ)の接種が当院でも始まっています。RSウイルスは乳幼児にとって重要な感染症で、特に6か月未満の乳児は重症化しやすく予防が重要です。妊娠中にワクチンを接種することで胎児へ抗体が移行し、赤ちゃんの感染予防が期待されます。
RSウイルスは呼吸器に感染を起こすウイルスで、小児にとって重要な病気です。生後1歳までに半数以上、2歳までにほぼ全員が感染します。症状は軽い風邪から重度の肺炎や重い呼吸困難まで様々です。どの世代の方も感染することがあるウイルスですが、特に6か月未満の乳児は重症化しやすく、肺炎や無呼吸を引き起こすこともあります。さらに6か月未満のRSウイルス感染は、将来的に喘息などの慢性的な呼吸器疾患のリスクを高めるとも言われています。日本では毎年約12〜14万人の乳幼児が感染し、約3万人が入院しています。ここタイの当院でも、毎年200人以上の日本人患児が通年RSウイルスに罹患していますが、流行のピークは雨季にあたる6月~11月です。
RS ウイルス感染症に対しては有効な治療薬がなく、症状をやわらげる対症療法が基本です。そのため予防が重要です。
母さんがワクチンを接種すると、2週間以降にはRSウイルスに対する抗体が母体で作られます。そして抗体は胎盤を通って赤ちゃんに供給され、生後6か月まで赤ちゃんを守ります。妊娠24週~36週の妊婦に1回接種することになっていますが、赤ちゃんの発育の観点から、より出生までの期間の短い妊娠28週~36週の接種によりさらに有効性が高くなることが指摘されています。なお、接種してから2週間以内に分娩となった場合に赤ちゃんに十分な免疫が得られるかどうかは不明です。
RSウイルスが原因による下気道疾患(気管支炎や肺炎など)を
重症化(高度な下気道疾患)を
注射部位の痛み・腫れ・発赤/微熱/倦怠感・頭痛 などが見られることがあります。
妊娠中にRSVワクチンを接種していれば、生まれた赤ちゃんはRSVワクチンや抗体製剤の追加接種は原則不要とされています。ただし、早めに生まれた赤ちゃんや基礎疾患のある赤ちゃんは例外になる可能性があるため、かならず小児科医に相談しましょう。
妊婦健診の際に、産婦人科外来にて主治医に接種したい旨をお伝えください。
対象 | 妊娠24~36週の妊婦 |
接種回数 | 1回 |
費用 |
12,900バーツ (2025年12月31日までは9,950バーツで提供) |
*この割引は2025年12月31日まで有効
日本とタイでは定期予防接種の種類やスケジュールが異なります。
出産された国も、渡航時期などが各家族さまで異なりますので、丁寧にしっかり状況をお聞きした後に、接種のスケジュールをお伝えいたします。