本日のご相談「狂犬病ワクチン編」子どもなんでも相談より

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本日のご相談「狂犬病ワクチン編」子どもなんでも相談より

2020年7月から始まったサミティヴェート病院の「子どもなんでも相談」。毎日、たくさんの質問をいただき、ありがとうございます!お寄せいただいた悩みを拝見していると、その多くがタイで子育てするママを悩ませる共通のものと思いました。

そこで、これまでにいただいた質問とそれに対する病院からの回答を定期的にご紹介していきます。ママの安心に少しでもつながればスタッフ一同とても嬉しく思います。

「子どもなんでも相談」で、いただいた質問で最も多かったのが「タイの予防接種と日本のやり方との違いに戸惑う」「コロナ禍で一時帰国できないため、日本で打つ予定だった予防接種(またはスケジュール)をどうしたらいいの?!」というものでした。

今回は狂犬病のワクチンについてご紹介します。

今回のご相談

狂犬病の予防接種の3回目をタイで打とうとしたら、日本とは方法が違うので免疫の効果を保証できないと言われました。もう一度、タイで最初から受けたほうがいいですか?

日本は世界でも数少ない狂犬病の危険性がほぼゼロの国であることから、免疫を一刻も早く付けるという発想がなく、のんびりしていると言って良いかもしれません。日本は4週間隔で2回、1回目から半年~1年の間にもう一度、1年のうちに3回接種するという方法です。しかし、国際的に標準とされる予防法は1カ月のうちに3回打つ方法です。つまり、初回を0日として7日目と21~28日の間の計3回、筋肉注射という方法で打ち、確実かつ速やかに抗体価を上昇させます。ただ、この方法でも抗体は2~3年で検出されない程度まで低下することがあり、いざ咬まれた時には、過去に成立していた免疫を呼び覚ますために5回の追加接種を行います。いつ狂犬病にかかるかわからないという国では、確実を期すためにはそれだけ万全の予防が必要というわけです。

日本で2回目まで接種されたということは、初回と4週間後に2回打たれたということですね。その半年から1年後に3回目を打つだけでも、免疫力(抗体価)は上昇すると思いますが、1カ月の間に3回打つよりは免疫力の程度はかなり弱いかもしれません。

また、日本で行われている皮下注射ですと筋肉注射より失敗率が高い可能性があり、おそらく筋肉注射のほうが効果的だと思います。抗体価の付き方には個人差があり皮下注射で問題のないことも多いので、どちらが正しいとは言えませんが、かかってしまうと大変な病気ですので、タイでもう一度やり直されたほうがよいのではないかと思います。

授乳中に狂犬病の予防接種は打っても大丈夫でしょうか?

授乳中の予防接種は問題ありません。

子どもが飼い猫に引っかかれました。狂犬病の予防接種を打つべきでしょうか?

2019年、タイでは狂犬病が原因で亡くなった方が20人と例年の倍に急増したことから、政府は2年以内に狂犬病を撲滅すると宣言し、ペットの犬猫800万匹以上にワクチン接種を終えたと言っています。しかし問題は、管理されていない数十万匹の野良犬がいて(タイは殺生を避けるため、ペットになれなかった犬の多くは捨てられるそうです)、バンコクにも10万匹はいるとのことです。特に危ない地域はレッドゾーンとして公表されていますが、バンコクのすぐ東に位置するチョンブリ県等の数県とイサーンのほぼ全体、北方のチェンライ周辺ですが、プーケット周辺も決して安全とは言えないようです。ですので、今後のためにも予防接種はしておかれたほうが良いと思います。WHOの勧告では、接種回数は2回で済ませるようになっています。

今回の猫に関しては、そもそも犬に比べると狂犬病ウイルスに感染していることがまれであること、直接咬まれたのではなく、引っかき傷であること、そして何よりも飼い猫であれば予防接種がなされているであろうこと(念のため確認してみてください)から緊急対応はしなくて大丈夫だと思います。

野良猫に引っかかれ狂犬病の予防接種を打ちました。日本は6回打つとありますが、タイの先生には5回でいいと言われました。適切な回数を教えてください。

狂犬病の予防法はWHOが何度か改定してきて現在のものになっていますが、最新のものは受けた傷の程度によって3段階の予防法を使い分けるというものです。お子さんの場合、出血があったということですので2段階目の予防法、つまりワクチンを5回打つということになったようですね。もっと重症の場合は、免疫グロブリンまで接種するわけですが、日本の場合ですと世界でも珍しい非流行地ですので、免疫グロブリンを製造・輸入しておらず、重症の場合でも利用できません。非流行地の日本では予防法も以前の方法を変更せずに行っているため、6回接種が残っていると考えています。以上より、今回の接種は5回で十分と考えます。

狂犬病の予防接種自体、打つ必要がありますか?

狂犬病は麻疹やインフルエンザとは違って、そこにいるだけでうつる病気ではないという点で予防接種を迷われる方がおられます。

これは考え方次第になりますが、野生動物のいるような場所には行かない、公園などで絶対に野良犬、野良猫に近づかない、触らないということであれば狂犬病のリスクはゼロです。逆に例えばチョンブリ県にたびたび行楽に行くということであれば、犬猫以外にサル、コウモリといった野生動物との遭遇が普通にありえます。バンコク都内でも野良犬、野良猫はたくさん目にしますし、咬まれたり引っかかれるという例も時に聞きますよね。ただし、咬まれてもその動物が感染している確率はさほど高くないですし、即刻予防接種を打てば(5回打つことになりますが)発病はまず免れることができるのでそれで良いという方がタイ人を含めて多いですし、普通の方々はそれで良いのではと私も思います。

私自身はタイの医療機関が近くにない田舎の山中を頻繁に走ったりしているので、咬まれた後すぐに接種できないことを考えて予防接種は受けています。

タイに渡航予定がありその他のワクチン(A型肝炎、デング熱等)の接種もご希望の方はタイで推奨される予防接種・ワクチン(成人)をご覧ください

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