前立腺肥大症とは?前立腺の役割や治療方法を詳しく解説

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前立腺肥大症とは、加齢などの影響によって前立腺が大きくなり、尿道を圧迫することで排尿がスムーズにできなくなる病気です。主に45歳以上の男性に多く見られ、年齢が上がるほど発症率は高くなります。特に70歳を超えると、男性の約8割が何らかの症状を抱えているとされています。

 

前立腺肥大症



 前立腺の位置と前立腺肥大の関係

前立腺は前立腺は男性の膀胱のすぐ下にある臓器で尿道を取り囲むように位置しています。正常な大きさは「栗の実」くらいで、成人男性で4cm x 3cm程度です。 

前立腺の中身はみかんのような構造になっていて、その真ん中を膀胱から伸びる尿の通り道である「尿道」が通っています。また、精子の通り道である「精管」も、前立腺の内部で尿道と合流しています。 

 この位置関係により、前立腺が肥大することで「尿の出にくさ」「尿切れの悪さ」などの症状が現れます。炎症が起きれば排尿時または射精時に「痛み」や「不快感」も生じてきます。 


 前立腺の役割 

前立腺には生殖と排泄に関わる下記のような機能があります。 

 

前立腺液の分泌 

前立腺の生殖における役割は「前立腺液の分泌」です。 

前立腺液には、精子の運動能力を高める栄養素が含まれており、精子が酸性の膣内で生き残るのをサポートします。精液の大部分は前立腺液と精嚢からの分泌液が混ざり合ったものであり、前立腺は男性の生殖機能において重要な役割を果たしています。 

排尿のコントロール

前立腺は「排尿のコントロール」における役割もあります。 

男性における排尿と射精の出口は一緒ですが、両者が同時に出て混ざってしまわないように、射精時には前立腺は収縮して尿道を閉じることによって尿と精液が混ざるのを防ぎます。よってもし前立腺の機能に問題があると、頻尿や多尿を起こしたり、ときには生殖機能に問題が起きたりします。 


前立腺肥大症とは 

前立腺肥大症は、何らかの原因により前立腺が大きくなり、尿がにくくなる(排尿障害)病気です。45歳以上の男性に多く見られ、年齢とともに増加します。特に70歳以上の男性では、80%以上の確率で発症するとされています。 


リスクが高い人は?

前立腺肥大症を発症する明らかな危険因子は加齢です。 リスクは45歳を過ぎると高まり、年齢とともに増加します。他にも遺伝的要因、肥満、高血圧、高血糖、脂質異常などが考えられています。  


前立腺肥大症の症状とその影響 

前立腺肥大症は、進行するにつれて排尿に関するさまざまな症状が現れ、日常生活や心理面に影響を及ぼすことがあります。 



主な症状 

✔ 頻尿・夜間頻尿 
膀胱が圧迫されることで尿意を感じやすくなり、昼夜問わずトイレに行く回数が増えます。特に夜間頻尿は睡眠の質を下げ、日中の集中力や活力の低下につながってしまいます。 

排尿困難・尿の勢いが弱い 
尿が出にくく、排尿に時間がかかるため、外出時や仕事中に不便を感じることがあります。 

尿が途中で途切れる・残尿感・尿漏れ 
排尿してもスッキリしない、または尿が漏れることがあり、不快感や不安を伴います。 

尿意切迫感(我慢できない) 
急に尿意をもよおし、我慢が難しい場面もあります。会議中やバンコクの渋滞など、状況によっては精神的なストレスにつながります。 



症状がもたらす生活への影響 

・睡眠不足による疲労感やイライラ 
・トイレの不安から外出や長時間の移動が億劫になる 
・仕事や人間関係に支障をきたす可能性(集中力の低下、ストレスなど) 

 

予防できる? 

前立腺肥大症を確実に防ぐ方法は今のところありません。そのため、リスクのある年齢層の男性は、自分の状態をよく観察し、定期的な健康診断を受けることが重要です。早期発見・早期治療が鍵となります。 



診断・治療の流れ

症状があって受診したい場合

① 泌尿器科の予約。採血でPSA(Prostate-Specific Antigen)の値をみる 

PSAとは「前立腺特異抗原」という物質で、前立腺から分泌されるたんぱく質の一種です。血液検査でこのPSAの値を調べることで、前立腺がん、前立腺肥大症や前立腺炎の可能性を早期に見つける手がかりになります。

PSA値が高めだった場合には、正確な診断のために、追加の検査(MRIや前立腺の組織検査など)を行うことがあります。

尿の勢いや出方をチェック(尿流検査) 

専用の検査機器を使って、排尿の状態を調べます。いつも通り排尿するだけで、尿の勢い、量、かかった時間などがグラフや数値で自動的に表示されます。

必要に応じてMRI検査へ 

気になる所見がある場合は、MRIで前立腺の状態を詳しく調べます。 

検査結果をもとに医師が対応を決定 

経過観察(生活習慣のアドバイスなど)、薬の処方、必要があれば他の治療を行います。 



健康診断でPSA値が高いと指摘された場合

① 泌尿器科を予約。採血でPSA(Prostate-Specific Antigen)の値をみる 

PSA値を再度検査します。PSAの値が高くなる原因は、前立腺の炎症や、検査前の運動(自転車・性行為など)でも見られるからです。

②、③、④と同上で検査をすすめます。

 

治療方法

当院の前立腺肥大症の治療には、薬物治療手術療法の2つの選択肢があります。適切な治療方法は、以下の要因によって決まります。 

 
前立腺の大きさ 
年齢 
全身の健康状態 
症状の重さ 

 

 薬物治療 

・α1遮断薬 
・5α還元酵素阻害薬 

 


 

手術療法(薬で改善しない場合) 

治療方 

組織の切除・蒸散を主体とする術式 

その他の術式 

TURP(経尿道的前立腺切除術 

レーザー前立腺蒸散術 

Rezumを用いた経尿道的水蒸気治療(WAVE治療) 

Urolift (経尿道的前立腺吊り上げ術) 

治療の仕組 

内視鏡を尿道から通して、電気メスで前立腺の組織を少しずつ削り取る 

尿道から内視鏡を挿入し、レーザーで前立腺の余分な組織を蒸散させる治療法 

尿道から内視鏡を挿入し、前立腺に高温の水蒸気を注入することで前立腺組織を変性させる低侵襲治療法 

前立腺の中に小型のインプラントを埋め込み、肥大した前立腺を持ち上げて尿道を広げ、排尿しやすくする治療法 

傷跡の有 

 

 

 

 

麻酔 

全身麻酔 

静脈内鎮静~全身麻酔 

施術時 

約1.5時 

約1時 

約10〜15 

約30 

入院期間 

2〜3泊 

2〜3泊 

12 

不要 

導尿カテーテル装着期 

2〜3 

2〜3 

7日 

不要 

性機 

影響ありうる  

保たれやすい  

効果持続 

長期 

中〜長期 

中(5年程度) 



 

泌尿器科の医師

泌尿器科専門医


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    バンコクにあるサミティベート病院・泌尿器科では、最新の医療機器を取り入れ尿路(腎臓~尿管~膀胱~尿道)、男性生殖器(精巣、前立腺)に関する領域で、主に外科系を中心として診る診療科です。
    当科には、タイ国内外で豊富な経験を積んだ泌尿器の専門医が在籍しており、様々な手術に対応しています。通訳は男性が入りますのでご安心ください。わかりやすく丁寧な説明と、患者さま一人ひとりに寄り添った医療を心がけています。

     

        泌尿器科(タイ・バンコク)

         

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