タイで安くて美味しいものを食べる屋台巡りは、観光客にも在住者にも楽しい時間ですね。世界的に有名なニュース番組、CNNでもバンコクの屋台料理は世界23都市中1番の美味しさである、と称賛し、2年連続で1位の座を獲得しています。
「どの屋台が美味しいか」は口コミやお客さんの様子で分かりますが、今回は、「どうしたらタイの屋台グルメを安全に楽しめるか」という視点でお話しします。
活気あるバンコクの屋台では、本場のタイ料理、シーフードをはじめとする様々なグルメがあります。
屋台はタイに住む人の生活と胃袋を支える存在 朝は働く人でもすぐに持ち帰り(会社で食べることも)ができる豆乳、串焼き豚ともち米(ムーピン)、お粥。昼は同僚や友達と一緒に、麺類、豚足煮込みご飯(カオカームー)、パッタイ。夜はカレーや揚げ物を持ち帰りして自宅で食べたり、友達と屋台でビールと一緒に焼き鶏(ガイヤーン)、ソムタム、などを楽しみます。
しかし、多くの屋台はどうしても人通りが多く、車が1日中行き交う交通量の激しい道路沿いにあるため、食品は必然的に細菌や埃で汚染されています。また生の食材が適切に保存されていないこともあるかも知れません。また均等に全体的に加熱されていなかったり、味付けが濃すぎることも。
屋台で料理を注文する前に、これらのことをよく観察して、タイ屋台料理を楽しんだ後に病院へ行くことがないよう、注意して屋台を選びましょう。
一番注意すべきなのは場所選びです。屋台の多くは、通勤者や旅行者にとって便利な道沿いにあります。しかし同時に、歩道の屋台は、埃や車の排ガスで汚染されているリスクが高くなります。特に、交通量が激しい場所や慢性的に交通渋滞がある場所では、汚染は顕著です。どうしても道路沿いの屋台で食事をしなければいけない際には、通気が良い席か歩道から離れた建物の中にある席など、車の排ガスにさらされていない場所を選びましょう。
車の排気管から放出されるガスは、ガソリンの不完全燃焼が原因で、有毒な一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物などが含まれています。多量の一酸化炭素で汚染された食品を定期的に摂取すると、肺機能に悪い影響を与え、めまい、呼吸困難、吐き気や嘔吐の原因となります。さらに排ガスは、発がん性物質とされると「鉛」が含まれています。
世界保健機関(WHO)は、食品に含まれる鉛の基準値を、食品1gにつき1マイクロg以下としています。不適切な量の鉛が含まれる食品を長い期間摂取すると最悪のケースでは死に至ることもあります。
食材が置かれている陳列棚、洗い場、テーブル、椅子、テーブルの上の調味料をゆっくり、じっくり見回して観察しましょう。 屋台では、食器やスプーン、フォークなどは1日中繰り返し使用され、それを限られたスペースで食材や食器を洗うため、きちんと洗われていないことがあります。
また、水や、飲み物やデザートに使われる氷も重篤な下痢を起こすコレラなどの食中毒のリスクがあります。汚いところに置かれていないか、確認しましょう。
すべてが高級レストランと同じ位に清潔である必要はありませんが、ざっと見て、一般的なレベルの清潔さは必要です。
調理してからずいぶん時間が経った料理を提供したり、残りものを再加熱して提供したりするような屋台もあります。できたての新鮮な料理を提供する屋台を選びましょう。調理されて時間が経った料理は、有害で危険な細菌が増殖しているリスクがあります。
また、ココナツミルクを使った料理は暑さに弱く傷みやすいため、事前に体に有害な保存料を加える店もあるので注意しましょう。
タイは揚げ物天国。調理が簡単で、美味しく安価な揚げ物を売る屋台がたくさんあります。 しかし、たっぷりの油で揚げた美味しい揚げ物は、発がん性物質やトランス脂肪酸を含み、身体に有害でもあります。高脂肪の食事は、肥満、脂質異常症、糖尿病、高血圧などの様々な病気の原因にも。
さらに、頻繁に油を捨てて、新しい油に変える屋台もありますが、酸化した油を使いまわす屋台もありますので要注意です。
屋台から炭火焼きの豚肉、鶏肉、イカや魚のシーフードの匂いがするとたまらなく美味しそうですね。
しかし残念なことに、焦げから出る煙は発がんのリスクを高めてしまいます。調理器具や生の食材も衛生面でのリスクがあります。特にシーフードは、新鮮さを保つためにホルマリンが使用され汚染されている場合があります。また肉やソースの中に、味や香付けをするための化学調味料が使われていないか注意しましょう。
サクサク感のあるスナック、焼き菓子、保存食品は、見栄えや美味しさのために、人工着色料や人工甘味料が使われています。人工甘味料として使われるサッカリン、歯ごたえを増すために使われるホウ砂は頻繁に食べたり多量に摂取したりすると、体に有害な添加物です。
生野菜、玉ねぎ、にんにく、ピーナッツ、干しエビ、乾燥チリパウダーなどでつくるソムタムや「ヤム」と呼ばれるタイ風のサラダ。生の食材や調味料を使いますが、それらがカビで汚染されていることがあります。また、サラダに酸味を加えるために使う、人工クエン酸から抽出した人工レモン果汁や人工酢は、消化不良や下痢の原因になります。さらに習慣的に摂取すると、体内に蓄積されがんの原因となる可能性があります。
屋台の料理は美味しく便利で、財布にもやさしいですが、注意せずにやみくもに食べていると、健康に悪影響を与えることになります。衛生面や食材に注意して屋台を慎重に選ぶことは、とても大切です。定期的な運動と適度でバランスのとれた適度な食事を心がけ、健康にタイの屋台グルメを楽しめる体づくりをしましょう。