アタマジラミは、日本でも、ここタイでも子どもへの寄生が多くみられます。
「えっ、シラミ?」と驚かれる方も多いのではないでしょうか。戦後の一時期に衛生環境が悪く蔓延したイメージから「不潔にしているから」と捉えられがちですが、アタマジラミはほとんどのケースで、不潔にしていることが原因で発生している訳ではなく、頭や身体を寄せ合って遊ぶことの多い子どもたちの間で発生している訳ですので、誤解したくないポイントです。
人間に寄生するシラミは以下の3種類です。
主に子どもの間で流行するアタマジラミは、衛生環境の良い国に住んでいても、毎日洗髪していても、大人でも、誰でも感染する可能性があります。日本でもタイでも通年発生しています。
シラミは飛べませんので、毛と毛が接触した時に移動して他の人にうつります。子どもたちは、集団生活の中で、身体や頭を寄せ合って遊ぶことが多いので、よりうつりやすいと言えます。
寄生が確認された場合には、感染の拡大を防ぐために、通っている幼稚園や学校へ連絡をしましょう。保護者や周りのみんなで協力し対応することが大切です。
なお、プールやお風呂などの水の中では、シラミは毛から落ちないように強くしがみついていますので、うつることはまずありません。水の中よりも、プールの前や後にタオルやくしなどの身体や髪の毛に触れるものを他の人と共用したすることでうつる可能性があります。
気をつけたいのは、子どもと接する機会の多い母親への感染です。子どもに添い寝する時には感染に注意しましょう。万が一、親も寄生されてしまった場合には、子どもが治ってから再度、母親から子どもに再感染しないように注意しましょう。
卵も幼虫・成虫も肉眼で確認できますので、とにかく取り除きましょう!
成虫や幼虫は洗い流せます。しばらくは毎日、大人が十分に洗髪してあげましょう。洗髪する時に、くしやブラシなどを使って行うとさらに効果的です。
卵はしっかり固着しているため、洗髪では取り除けません。髪の毛に付着している卵をしっかり探しましょう(グルーミング)。
卵が孵化して、吸血することがないように、一つ一つ手で潰して全ての卵を駆除していきます。耳の後ろやえりあしに多く卵が付着していますので重点的に。
他の人にうつらないように、くし、ブラシ、帽子、寝具などの共用は避けましょう。
また、寄生されている人が使うタオル・衣類・枕カバー・シーツなどは、アタマジラミが付いている可能性がありますので、洗濯できるものは毎日洗いましょう。
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髪を短くすることは、アタマジラミを見つけやすい、洗髪しやすいなどのメリットがありますが、無理に短くする必要はないでしょう。
また、薬が効かないアタマジラミの出現も報告されています。きちんと対策をしても駆除できない場合には、病院の小児科か皮膚科にかかりましょう。
「感染の経路」でも述べましたが、子どもたちの日常的な遊びや交流の中でどうしても広がってしまうのがアタマジラミ。いつ寄生するかわかりませんので、予防が大切ですね。