子どもの鑑賞に適した映画

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子どもの年齢に適した内容の映画を選ぶのは予想以上に難しいことがあります。乱暴な言葉遣い、暴力的描写、性描写のある映画は、ある程度の年齢になるまで見せるべきではありません。一方で、昔から愛されている子ども向け映画の中には、大人向けの複雑なテーマを扱っているものもあります。「死」を扱った映画を幼い子どもに見せるべきでしょうか?恐ろしい怪物や悪党が登場する映画は?登場人物みんながハッピーエンドにならない映画はどうでしょうか?

子どもに見せる映画は親の判断によりますが、基本的には、親が内容を知っているものや、概要にしっかりと目を通して内容を確認した映画を見せるべきです。専門家の中には、3歳までは子どもにテレビを見せるべきではないという人もいます。ですので、子ども向けのお馴染みの映画でも、子どもがきちんと理解できるようになるまで様子を見る必要があります。

ディズニー映画

欧米の子ども向けエンターテイメント界では、ディズニーが確固たる地位を築いているのは間違いありません。1937年に『白雪姫』を発表して以来、多くの子供たちに愛されており、ディズニー映画を観ずに育つ子どもはいないのではないでしょうか。

ところが、ディズニー映画に対する大人の反応は両極端です。時代遅れのジェンダーロール、ステレオタイプの人物描写、単純すぎる世界観などを理由に、子どもにはディズニー映画を見せないという人もいれば、美しい作画やユーモラスで壮大、典型的なストーリーを称賛する人もいます。

つまるところは個人の価値観ですが、ディズニー映画を観て、子どもに率直な感想を聞いてみるのもいいでしょう。ただし、ディズニー映画の中には幼い子どもには激しすぎて適していないものもありますので、注意が必要です。

死が描かれている映画

鑑賞制限のない「G」指定の映画の中にも、主要な登場人物の死が描写される場合、子どもには理解できない可能性があります。子どもと死について話し合ういい機会になるかもしれませんが、ある程度の年齢になるまで待つべきです。

  • 『ライオン・キング』:人気映画ですが、親の死は子どもにはなかなか受け入れられません。6~7歳以上の子どもに適しているでしょう。
  • 『マイ・ガール』:母親の死により心に傷を負った少女が、親友も蜂に襲われて亡くしてしまいます。感動的ですが、小さな子どもには悲しすぎる話です。思春期の始め頃まで待ちましょう。
  • 『ノートルダムの鐘』:母親が惨殺されたカジモドは、その後、頑固者の養父に育てられます。若干性的な描写もあります。作画や俳優はすばらしく、大人も楽しめるディズニー映画のひとつですが、就学前の子どもに見せるべきではありません。
  • 『バンビ』:可愛らしい動物アニメですが、母親が死んでしまうため、小さい子どもに見せる場合は注意が必要です。
  • 『ファインディング・ニモ』:母の死から立ち直ることが物語のテーマです。楽しい映画ですが、子どもが死を理解できるようになってから見せるようにしましょう。また、映画を真似して子どもが魚(カクレクマノミ)をトイレに流さないように、トイレの先は自由が広がる海ではないことを教えましょう。
  • 『カールじいさんの空飛ぶ家』:辛いシーンから始まり、物語を通じて喪失感がテーマになっています。子どもがきちんと理解できるようになるまで待ちましょう。

幼い子ども向けではないものの、年齢が上がればお勧めしたい映画

  • 『ファンタジア』:年齢を問わず楽しめる映画ですが、ラストシーンで大混乱があります。大きな翼をもった悪魔がはげ山で暴れるまでは安心して観られます。
  • 『眠れる森の美女』:アンジェリーナ・ジョリーが演じる前から、マレフィセントは相当な悪役です。悪魔の角で遊び、気味の悪い手下を従えています。そして、最後にはドラゴンになってしまいます。
  • 『 インクレディブル』:漫画的な表現ですが暴力的な描写が多くあります。スーパーヒーローもののパロディーを理解できるようになってから見せましょう。
  • 『プリンセス・ブライド・ストーリー』:1987年に上映されたファンタジーの傑作で、エンターテイメント性も高い映画です。チャンバラごっご、若干の暴力描写、そして「異常な大きさのネズミ」が受け入れられる年齢になってから見せましょう。
  • スタジオジブリ作品:宮崎駿監督の作品は最上の子ども向け映画です。遊び心があって奇想天外、長く心に残る感動的な作品で、大人も楽しむことができます。『崖の上のポニョ』、『魔女の宅急便』、『となりのトトロ』は小さな子どもにも安心して見せられます。超現実的な世界観の『千と千尋の神隠し』や『ハウルの動く城』は10歳以上の子どもに適しています。すばらしい作品ですが血なまぐさい描写の多い『もののけ姫』、第二次世界大戦がテーマで死、破壊、喫煙の描写もある『風立ちぬ』は10代になってからにしましょう。
  • 『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』:骸骨、小悪魔、オバケ、サンタクロースの誘拐。ティム・バートン監督のアニメ作品ですが、小さい子ども向けではありません。『ティム・バートンのコープスブライド』『コララインとボタンの魔女』などと同じく、10代以上に適しています。
  • 『リトル・マーメード』:下半身がタコのような正体不明の海の魔女「アースラ」はディズニー史上最も恐ろしい悪役かもしれません。
  • 『ムーラン』:強くて前向きなヒロインは必見。侵略者から中国を救うという使命の下に、ムーランが勇ましく戦います。血を伴う描写は出てきませんが、暴力が描かれています。また、若干ですが、性を想像させる描写もあります。
  • 『ベッドかざりとほうき』:アンジェラ・ランズベリーが主役のミュージカル映画で、『メアリー・ポピンズ』とよく比較されますが、こちらもすばらしい映画です。主人公は魔女で、クライマックスで幽霊のような鎧兜を身につけます。時代の古さはありますが、7歳以上の子どもは楽しめるでしょう。
  • 『マチルダ』:愛らしく才能豊かな少女が本を読ませようとしない両親に反発して、超能力を身につけていくストーリー。小さな子どもには学校の校長先生が怖く感じるかもしません。読書に興味を持ち始めた子どもには、ロアルド・ダールの原作は非常にお勧めです。

年齢を問わず楽しめる映画

  • 『ベイブ』:アカデミー賞作品賞にもノミネートされたおしゃべりな「牧羊豚」の物語です。
  • 『ウォーリー』:悲しい描写もありますが、怖がらせるような心配はありません。子どもと環境について話すのにも良い映画です。
  • 『メアリー・ポピンズ』:子どもの頃に観たときよりも深いストーリーと感じるかもしれません。家族の崩壊を匂わせる面もありますが、どんな年齢の子どもも楽しめます。
  • 『トイ・ストーリー』:どのシリーズも傑作です。いつ観ても、全く時代遅れな感じがしません。特に1作目と3作目はケンカのシーンもありますが、5歳以上なら安心して見せられます。
  • 『チキンラン』:第二次世界大戦を描いた「大脱走」をモチーフにしていますが、それには関係なく、子どもが楽しめるアドベンチャー映画です。
  • 『サウンド・オブ・ミュージック』:これもまた昔観た記憶よりもさらによくできた映画だと感じられるでしょう。最後のほうに少し怖いシーンもありますが、全体的に楽しい作品です。
  • 『奇跡の旅』:ペットたちが飼い主に会うために冒険する心温まるストーリーです。他の動物映画と違ってハッピーな気持ちになれます。[ネタバレ注意]シャドウも死なず、ハッピーエンドです。
  • 『夢のチョコレート工場』:ジョニー・ディップの神経質で子どもっぽいウィリー・ウォンカのことは置いておいて、ジーン・ワイルダー版の古典を楽しみましょう。少し意地悪い表現もありますが、子どもにも安心して見せられます。

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