帝王切開後の経膣分娩(VBAC/ブイバック)

閉じる
line instagram youtube

以前に帝王切開で分娩をしたことがあって、妊娠し、経膣分娩をすることをVBAC(ブイバック/帝王切開後の経膣分娩)と呼びます。VBACは経腟分娩を希望される全ての方に可能性があります。ただし、前回の帝王切開の時の子宮の傷が、分娩時に裂ける「子宮破裂」のリスクが1%以下ですがあります。子宮破裂は母体にも赤ちゃんにも危険な合併症であり、重篤な結果を起こす可能性があります。十分に危険性を理解し、ご家族ともしっかり話し合って分娩方法を選択することが必要です。

VBACのリスクを特定するためには、過去の出産で帝王切開となった原因が大きく影響します。胎児が骨盤位(逆子)だったり前置胎盤の妊娠だったために帝王切開を実施した、という場合には今回の妊娠でのVBACのリスクは低くなります。一方で、下記に当てはまる場合にはVBACのリスクが高く、今回の出産でも帝王切開が必要とされるでしょう。

VBACに適さない方

  • 既に2回以上帝王切開をしている方
  • 帝王切開の他に子宮筋腫摘出術など子宮の手術を行ったことがある方
  • 1年以内に帝王切開を経験された方
  • 今回の妊娠が骨盤位(逆子)や双胎の方
  • 胎児の大きさに対して骨盤の広さが十分でなかったために前回帝王切開が適応になった方。また、今回の妊娠でも胎児の大きさに対して母体の骨盤の広さが十分でない方
  • 母体または胎児に危険が及ぶ可能性のある感染症や合併症のある方

VBAC成功の条件は、胎児が必要以上に大きくなく健康であることです。タンパク質、ミネラル、ビタミンを多く摂り、炭水化物や脂質を控えめにする健康的な食事をしていれば決して難しくありません。

VBACのために

  • 分娩方法をVBACにするかどうかを慎重に決める
  • 自分に合った医師を選ぶ
  • 胎児が健康かつ安全に育ち、必要以上に大きくならないよう、健康的な食事を学ぶ
  • 出産の際には、あなた自身と医師を信じる

ご自身の生活に合わせて妊娠・出産の計画を立て、準備を整えていきましょう。多くのことを考える必要がありますが、最も重要なことはお母さんと赤ちゃんの健康です。妊娠中は明るい気持ちで過ごしましょう。

VBACのメリット

  • 赤ちゃんとのつながりを実感できる
  • 帝王切開に伴う、癒着の影響などによる出血等の危険性や、その後の妊娠で前置胎盤となる危険性が低い
  • 将来の出産数に影響を与えない(帝王切開の回数が多くなると合併症の危険性が高くなるため一般的には帝王切開は3回くらいが限度と考えられています)

コラム一覧へ

↑