
ニキビは思春期の通過儀礼のように語られる一方で、大人になってからもふいに現れ、しかも去り際が悪い。赤みが残ったり、黒ずんだり、気づけば毛穴やクレーターとして居座ることもある。そのようなニキビ跡は一種類ではない。赤みなのか、色素沈着なのか、あるいは毛穴や凹凸を伴うのか。実はここを見誤ると、せっかくの治療も遠回りになってしまうのだ。
たとえば、赤みが主役のニキビ跡では炎症や血管に反応するVビームというレーザーを医師が選ぶことがある。ピリッと温かい刺激はあるものの、ダウンタイムはほぼなし。肌が「落ち着いていく」感覚を比較的早く実感できるのが特徴だ。一方、赤みと黒ずみが混在しているなら、IPLという選択肢。広い波長の光で、色の違う跡をまとめてケアする、いわば“調整役”のような存在だ。
黒ずみが強い/毛穴やクレーターが気になる場合はピコレーザーの出番。色素を細かく砕いて影を少しずつ薄くしつつ、場合によっては凸凹をなめらかにして肌を作り直すアプローチだ。さらに刺激を抑えながら肌の調子を整えたい人には、フェイシャルトリートメントという穏やかな選択も。光やトリートメントで肌を鎮め、底力を引き出す。地味だが効く一歩だ。

肌の状態や跡の種類は一人ひとり異なるため、実際の治療は美容皮膚科の専門医が診察し、適した方法を選んでくれる。ニキビ跡の治療では、「とにかく消したい」と焦らないことも大切。跡の正体を知り、自分の肌に合った方法で専門医と向き合うこと。それは肌との対話であり、自分を雑に扱わないという意思表示でもある。ニキビ跡は、ちゃんと向き合えば、ちゃんと応えてくれる。焦って隠すより、正しく向き合う方が近道なのだ。