情報の海の泳ぎ方

情報の海の泳ぎ方

ドクター南の生活羅針盤

最近、本を読む時間を増やすようにしている。のんびりページをめくる時間が、こんなにも疲れず落ち着けるものだったかと驚く。一方、私たちの生活は、電子メール、WEB会議、SNSの通知などのデジタル情報にあふれ、ひっきりなしに処理を迫られている。しかも、本当に価値のある情報はごく一部にすぎない。せっかくの休みに動画シリーズを一気見しようものなら、頭も体もドーンと疲れてしまう始末。気づかぬうちに、音声、映像、テロップといった情報の濁流の中で、息つく暇もなく泳がされているのである。

私は元水泳選手なので、脱力すれば長く楽に泳ぎ続けられることを知っている。疲れたら仰向けでぷかぷか浮いていればよい。苦手な人は「頑張れば進むはずだ」と必死でもがくので、すぐに力尽きてしまう。ジョギングも同じで、上手な人は余計な力が入らず、呼吸とリズムが自然に整う。一方、慣れない人はスピードを上げすぎ、すぐに息が切れてしまう。デジタル世界での疲労も、これと同じではないか。必要以上の情報にさらされ、注意力が息切れし、作業効率が落ち、知らないうちに疲れを背負い込んでしまう。

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では、水泳やジョギングでの脱力を、デジタル世界でどう応用すべきか。それが、最近広がり始めたアテンションデトックス、つまり注意力を取り戻すための生活習慣だ。スマホは必要最低限に使い、不要な通知を切る。見ない時間帯を決め、アプリも最小限にする。読書や散歩といった、自分のペースで進められる能動的な行為を増やす。通勤中にスマホゲームに没頭し、家族での食事中でさえ全員が画面を眺めているーそんな光景が異様だと捉えられなくなっている事実に、一度立ち止まってみたい。情報洪水は止まらない。しかし、溺れるかどうかは「力を抜いて浮かぶ」技術を身につけられるかどうかにかかっている。

南 宏尚(みなみ ひろたか)

大阪の高槻病院で長年小児・新生児医療の第一人者として臨床・研究・教育に携わる。サミティベート病院では医療相談やセミナーで邦人社会をサポート。現在は出張ベースで相談やセミナーを継続中。齢50にして長年の不摂生を猛反省、健康的生活に目覚めるも、しばしばリバウンドや激しすぎる運動で体を壊しがち。

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