食す知恵が詰まったバナナ

食す知恵が詰まったバナナ

食べて整える

タイで暮らしていると、バナナという果物との距離の近さを感じる。日本では朝食や間食の定番。手軽で甘い果物という印象が強いが、こちらではもう少し生活に入り込んでいる。屋台の横にさりげなくぶら下がり、食堂では揚げられ、蒸され、ときに料理の一部として存在感を放つ。ひと口にバナナといっても、その種類は驚くほど多い。小ぶりで濃厚な甘みのクルアイ・カイ、しっかりとした食感で調理に向くクルアイ・ナムワー。品種ごとに役割があり、甘さや食感で使い分けられているあたりに、タイらしい合理性がにじむ。完熟したものはデザートに、まだ青いものは揚げ物や煮込みに。熟し具合まで含めて身近な食材として扱われているのが印象的だ。

さらに興味深いのは、実を食べるだけで終わらないところである。その大きな葉は料理を包む器として使われ、蒸し料理にはほんのりとした香りを移す。そして、屋台の焼き菓子や魚料理にも欠かせない存在だ。つぼみは薄くスライスされてカレーやサラダに入り、ほろ苦さが味に広がりを与える。一本の木から、これだけの用途が引き出されることには、食物に対する人間の知恵の原点を見る気がする。

栄養面は?といえば、カリウムを豊富に含み、汗をかきやすい環境でのミネラル補給に適しているほか、エネルギー源としても効率がいい。スポーツ選手などが試合中の栄養補給に食べるのも腑に落ちる。バナナは、使い切ることで整う食材。余すところなく向き合うことで、「少し丁寧に頂いてみよう」と思ってしまうのも不思議だ。そんな感覚を、タイのバナナは心の奥から引き出してくれる。

記事をシェアする

新着記事

あなたと 今を生きたいのよ。そう言われて 僕は目が覚めた。

あなたと 今を生きたいのよ。そう言われて 僕は目が覚...

人はなぜ、箱を開けてしまうのか。

人はなぜ、箱を開けてしまうのか。

医師の子育て、春の朝

医師の子育て、春の朝

フケ編

フケ編

認知症を予防できるか

認知症を予防できるか

人気の記事

光の通り道。建築に見るサミティベート病院

光の通り道。建築に見るサミティベート病院

健康診断の現在地

健康診断の現在地

傷だらけのゴルファー|熱帯の楽園で、明日もスイングするあなたへ。

傷だらけのゴルファー|熱帯の楽園で、明日もスイングす...

アレのはなし

アレのはなし

健康の流儀。 ―サミティベート病院  医師 尾﨑 岳―

健康の流儀。 ―サミティベート病院 医師 尾﨑 岳...

トレンド・ケア

鍼治療

鍼治療

薬理遺伝子検査

薬理遺伝子検査

抜け毛 薄毛

抜け毛 薄毛

脳ドック

脳ドック

透析旅行

透析旅行