
タイで飲食店経営を成功させた人は何人もいるが、その存在感に最もインパクトがある人といえば、やはり清水友彦さんだろう。そう、「SHAKARIKI432”」の社長である。SHAKARIKI432”といえば、店頭に掲げられた赤ちょうちんがトレードマーク。そこには「見切り発車」「インパクトのある人生」「日本の底力」などといった名文句が書かれている。その言葉を考えているのも清水さんだ。「基本、すべて自分で考えています。勢いで書いてきた文句も多いから、そろそろちゃんとしなきゃ、なんて思っています」。
清水さんの成功物語はいろいろなメディアが既に取り上げているので、今さらここでは言及しない。ただ、清水さん自身が大きく変わったタイミングについては触れた方が良さそうだ。「コロナ禍で確かに変わりましたね。2012年にタイへ出てきてから、最大のピンチ。飲食業は特に大変だったと思います」。店を開けない、お酒を出せない、営業時間を規制される。そんな窮地ではあったが、コロナ禍のおかげで良いこともあったという。「思うように営業できなかったのですが、その分、時間ができました。だから、改めていろんなことを考えることができたんです。人の気持ちを考えられるようになった気がします」。清水さんが、お客さん、家族、そして従業員などに意識して感謝の気持ちを持つようになったのもこの頃。「写真などでコロナ前の自分の顔を見ると、まったく余裕がない顔をしていたなと。自分自身、今の顔の方が好きです」。

さて、そんな清水さんは今、自分史上で最高に健康志向なのだそうだ。だから健康診断も欠かさない。「年上の人たちを見ていて、やはり健康が重要だと感じたんです。せっかく仕事を成功させたのに、体の具合のせいで終わっちゃったらもったいないじゃないですか」。不健康なたしなみは、健康な体があってこそ。冗談のようなフレーズだが、清水さんの生き方を知るととても腑に落ちるのである。「なんていうのか、自分は早めに人生が巡っているような気がします。だから、思い立ったら健康診断でもフェイシャル美容でもすぐにやる。まあ、せっかちだという理由もあるけど、スポーツでも何でも、ちゃっちゃと済ませられるものが好きです」。
清水さんは50歳。40代までは外向きで生きてきたが、これからは少し内向きになって、自分の価値観に共感してくれる人と付き合っていきたいそうだ。「人っていうのは、目の前のやらなきゃならないことになかなか着手できない。でもね、それを見切り発車でもいいから、スピード重視でとっととやってみると案外とハッピーになれます」。やはり、人生は見切り発車くらいでちょうどいいのかもしれない。

SHAKARIKI 432 Co., Ltd. President & CEO
1975年、大阪府堺市生まれ。26歳の時に大阪市内で「しゃかりき432”」を創業。2012年にはタイのバンコクに進出。その後、タイ国内で「しゃかリッチ」などをはじめとした複数ブランドを立ち上げながら、急速に出店数を増やしていった。かすうどん、たこ焼き、もつ鍋などの「大阪のソウルフード」を持ち味にしてタイ人マーケットのファンも獲得。ナコンラーチャ―シーマーなどの地方都市での展開も開始し、今後はローカルマーケットへの出店を計画している。趣味は筋トレ、ムエタイ。