バンコク夏の陣

バンコク夏の陣

南国の子守唄

育児エッセイの名著をあげて欲しいと言われれば、川上未映子の「きみは赤ちゃん」で決まりだろう、そして2位は存在しない。というのも、過去の文豪と呼ばれる人たちは破天荒な人物ばかりで、妊娠から新生児、幼児期の育児にはほとんど参加していないのか、一流作家たちのこの分野のエッセイはすっぽり抜け落ちているのだ。そして、唐突に始まった本コラムであるが、「男性医師ならではの視点で、育児の奮闘を描く」というテーマで始動しており、筆者としては男性の育児エッセイという領海にバンコクからぽちゃんと一石投じてみようと思っているわけである。

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さて。今回は便秘との戦いについて書いてみたい。当コラムは始まりも唐突であれば、話題の切り替えも唐突だ。

4月、5月のバンコクはとにかく暑い。子供は代謝がいいこともあって、10分も外にいれば玉のような汗を流し、水を飲んでも追いつかず、どうしても便が硬くなってしまう。最初は日本から持ってきていた酸化マグネシウムを使っていたのだが、それでも数日便が出ないことがあって、週に1回くらいは自宅で浣腸する必要があった。しかしそれでは親子ともに負担が大きいのでサミティベートで相談したところ、ラクツロースを勧められた。ラクツロースは糖の一種であり、胃腸では一切吸収されずに大腸まで達するという性質があって、便を柔らかくして、腸の蠕動を促す。体内に吸収されないので長期間使用しても副作用が少なく、小児の便秘に対して安全に使用できる。と、ここまでは以前から知っていたのであるが、ふと毎日糖を摂取していて我が子は虫歯にはならないのか?と思い調べてみた。するとラクツロースは虫歯の原因となるミュータンス菌が発酵しにくい構造をもつため、リスクは非常に低いということであった。なんとも優れた薬である。

昨年から使い始めたラクツロースは無事に効果を発揮し、徐々に投与量を減らしても快便が続いており、ほぼ薬なしでも大丈夫な状態になっていた。しかしバンコクで2度目の酷暑の夏を迎えるにあたり、最近はまたこまめに量の調整が必要な日々が続いている。しばらくは子どものうんちのことを考えることが増えそうなバンコク2度目の夏である。

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