
青いハーブとして知られるバタフライピー。タイでは「アンチャン」とも呼ばれ、お茶として飲むだけでなく、花そのものを食べ、料理や菓子の色づけにも使ってきた身近な植物である。生の花は野菜のようにナムプリックに添えたり、ヤムに加えたり、衣をつけて揚げたりして食べられる。味や香りの主張が強くないため、さまざまな料理になじみやすいのも特徴だ。花から抽出した鮮やかな青は、ご飯やもち米、カノム・チャンなどの菓子にも利用され、昔から食卓を彩る天然の色素として親しまれてきた。市場や屋台で目にする青い料理にも、こうした植物を余さず生かすタイの知恵が表れている。
この青色を生み出しているのが、アントシアニン系の色素である。なかでも「テルナチン」と呼ばれる成分が特徴で、抗酸化作用について研究が進められている。鮮やかな色を楽しみながら、植物由来の成分も摂れるというわけだ。食べるだけでなく、タイでは古くから花の汁を髪や頭皮のケアに用いる習慣があり、子どもの髪や眉に塗ることもあったという。現在でもバタフライピーを配合したシャンプーやヘアケア製品は珍しくない。
もうひとつ面白いのが、色の変化だ。ティーにレモンやライムを搾ると、鮮やかな紫色へ変わる。これは酸が加わってpHが下がり、アントシアニンの構造が変化するため。見た目の演出ではなく、植物色素が起こす化学反応なのである。
飲むだけではなく、花を食べ、料理に色を付け、髪のケアにも用いてきたバタフライピー。青いご飯や菓子を見かけたら、その鮮やかな色とともに、お茶だけではわからないタイならではの楽しみ方も味わってみたい。