
タイの果物と聞いて、多くの人が思い浮かべるのがマンゴーではないだろうか。濃厚な甘み、切った瞬間に立ちのぼる南国らしい香り。屋台のジュースからホテルのデザートまで、タイのフルーツの象徴として日常に溶け込んでいる。だが、その魅力はほとばしるような甘さにとどまらない。暑さで乱れがちな体調を、食べることで整えてくれる果実でもある。
数ある品種の代表格はナムドークマイ。細長い形と上品な甘さと香り、なめらかな食感が特徴で、定番のカオニャオ・マムアン(マンゴーともち米)にもよく用いられる。濃い緑のケーオは、若いうちは酸味が強く、熟す前の爽やかな味わいが魅力。さらに、熟すと白っぽい黄金色になるオクロンは、香りが強く切ってそのまま食べるデザート向きの品種だ。「甘い」「酸っぱい」「香り高い」の役割が品種で分かれている点が、マンゴー大国のタイならではである。
食べ方にもバリエーションがあり、カオニャオ・マムアンは定番だが、青マンゴーは細く切ってソムタムやサラダにしたり、塩や唐辛子、甘いタレを添えてスナック感覚で楽しむことも多い。甘味と酸味と辛味で食欲が刺激され、体の巡りまで軽くなる。
栄養面でも優秀だ。βカロテンが紫外線ダメージを受けやすい肌を内側から支え、ビタミンCが抗酸化と免疫をサポート。美容食としての魅力も大きい。マンゴーの旬はタイが最も暑い3月から5月頃。食物繊維を多く含み、胃腸の調子が落ちやすい暑い季節の助けになる。マンゴーは単なる美味しいスイーツだけでなく、タイの暮らしを支える頼もしい果実だといえるだろう。