週末の午後、少し疲れを感じていた。仕事が忙しく、気づけば頭の中はやるべきことのリストでいっぱい。気分転換がしたいなと思い、インスタで見つけて気になっていたカフェへ足を運んだ。扉を開けた瞬間、聞き覚えのあるメロディーが流れてくる。竹内まりやの「PlasticLove」だ。ここはエカマイにあるレコードカフェ。日本のレコードをメインに取り扱い、DJの選曲を楽しみながらドリンクを片手に過ごせる空間だ。ターンテーブルの横には山下達郎、松任谷由実、竹内まりや……おなじみのジャケットが並ぶ。アイスラテを注文し、席についた頃に流れ出したのは小沢健二の「ラブリー」。軽快なリズムが心地よく、自然と気分が上がる。店長によると、バンコクでもシティポップや90年代J-Popの人気が広がっているらしい。確かに、店内のタイ人客はメロディーを口ずさんだり、リズムに乗ったりしている。音楽は、心を整えるスイッチのようなものかもしれない。コーヒーを飲みながら、お気に入りの曲に耳を傾けるだけで、思考が整理され、気持ちが前向きになる。帰り際、店長が「今度、日本人アーティストを招いてイベントをやるんです」と教えてくれた。バンコクの喧騒を離れ、日本とタイのカルチャーが交わる心地よい空間。心のリズムを取り戻したい時、シティポップとコーヒーの組み合わせは、思いのほか効果的なのかもしれない。
沖吉慶也