タイでは通年インフルエンザの流行が見られるため、年一度の接種をお勧めしています。
従来の注射型のインフルエンザワクチンに加え、注射が苦手な方やお子さまにもおすすめの「点鼻型インフルエンザワクチン・フルミスト(FluMist)」が当院でも接種可能になりました。鼻腔にスプレーする生ワクチンで、局所免疫と全身免疫の両方を高める働きがあります。欧米では10年以上使用されている生ワクチンで、感染予防効果も高いと報告されています。
フルミストの要約

日本で2024年に認可され、広く使えるようになった経鼻生ワクチン「フルミスト(FluMist)」。ここタイでも、2~49歳を対象として2024年に承認され流通しはじめています。
鼻腔内にスプレーする経鼻生インフルエンザワクチンで、欧米では10年以上前から使用されています。弱毒生ワクチンに分類され、生きたインフルエンザウイルスを弱毒化したものを鼻の粘膜に投与し、実際に感染した時と同じ形で免疫反応を誘導します。これによりウイルスの侵入経路に近い鼻や喉の粘膜において局所的な免疫を作るのが特徴です。
両鼻にスプレーするタイプのため、注射が苦手なお子さんや痛みに敏感な方にもおすすめできます。特に小児において効果が高いという報告もあります。[1] 2012年にドイツで実施された調査では、保護者の97%が「翌シーズンも子どもに経鼻のインフルエンザワクチンを受けさせたい」と回答しています。[2]
片方の鼻に0.1mLずつ、合計0.2mLをスプレーします。痛みはほとんどなく、数秒で終了します。
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点鼻:フルミスト(FluMist) |
注射:Influvac® Tetra |
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種類 |
生ワクチン(弱毒化ウイルス) |
不活化ワクチン(ウイルスを不活化) |
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製造元 |
アストラゼネカ社 |
アボット社 |
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接種方法 |
片鼻に0.1mlずつスプレー (合計0.2ml) |
上腕または大腿に注射 |
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接種時の痛み |
なし |
あり |
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接種回数 |
1回 (※これまで一度もインフルエンザワクチン接種歴がない子どもは4週間の間隔で2回接種を推奨。詳細は医師と相談ください。) |
1回(生後6か月から13歳未満には2回接種が推奨) |
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対象年齢 |
2歳~49歳 |
生後6か月~上限なし ※65歳以上には高用量ワクチン推奨 |
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副反応 |
鼻水、鼻づまり、発熱など |
注射部位の腫れ、発熱、倦怠感など |
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効果 |
局所免疫(鼻や喉からの侵入をブロック)と全身免疫の両方 |
主に全身免疫(体内で増殖を抑える) |
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感染予防 |
88%予防 |
68%予防 |
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入院リスク予防 |
55-70%低減 |
- |
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効果の発現 |
接種後 約2週間 |
接種後 約2週間 |
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予防効果を示す期間 |
毎年更新されるワクチンを年1回接種することが最も効果的 |
接種から6〜12か月は予防効果が期待される |
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注意が必要なアレルギー |
卵アレルギー ゼラチンアレルギー |
卵アレルギー |
| 年齢 | 2歳~49歳 | |
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受付・場所 |
12階日本人専用フロー、健康診断センター | |
| 日時 | 毎日/8時~15時 | |
| 回数 |
1回 ※これまで一度もインフルエンザワクチン接種歴がない子どもは4週間の間隔で2回接種を推奨。詳細は医師と相談ください。 |
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| 投与方法 | 左右の鼻腔内に0.1mlずつ噴霧(合計0.2ml) | |
| 予約 | 不要 | |
| 費用 |
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*この割引は2025年12月31日まで有効
| 6か月~3歳未満 | 3歳以上 | |
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受付・場所 |
12階日本人専用フロー | 12階日本人専用フロー、健康診断センター |
| 日時 | 毎日/8時~15時 | 毎日/8時~15時 |
| 予約 | 不要・すぐに接種できる医師をご案内します。接種のみで、医師による診察は原則ありません。 | |
| 費用 | 小児科医に費用等を確認の上、接種ください。 |
790バーツ* (薬剤費、医師診察費、病院使用料を含む) |
*この割引は2025年12月31日まで有効
はい。注射型と同じく、毎年世界保健機関(WHO)が発表する流行予測株に基づいて製造されています。
注射型、点鼻型ともにインフルエンザの罹患から1か月後に接種可能です。
タイでのインフルエンザ感染者数のピークは7月~10月と2~3月です。一方、日本でのインフルエンザ感染者数のピークは12月~3月です。接種後に効果が出てくるまでに、注射型、点鼻型ともに約2週間かかるので年末年始に一時帰国される方も計画的に接種しておきましょう。
インフルエンザの流行シーズンは南半球と北半球のそれぞれ冬にあたります。タイでは冷房による乾燥や国境を越えた往来が盛んなこともあり通年流行が見られるため、当院では毎年、南半球型を6月、北半球型を10月に入荷し、年一度の接種をお勧めしています。
厚生労働省は” 一般に、インフルエンザに自然感染した場合は免疫抗体を獲得し、そのため、病気の進行(発症)を軽減することは可能と考えられる。明らかにインフルエンザに罹患した者は、同シーズンにおいては、同株のワクチンを接種する必要性は乏しいと考えられる4)。” としています。
インフルエンザウイルスは変化の早いウイルスであり、毎年流行するであろうウイルスの型を予想してインフルエンザワクチンを製造しています。よって、流行期に罹患した場合は、同期のインフルエンザと同種の株である可能性が高いため、ワクチン接種の必要性は低いと考えられます。しかし、流行期ではない時期にインフルエンザに罹患した場合には、以前のウイルスの型なのか、今年のウイルスの型なのか
なのか見分けはつきません。よって、重症化を防ぐためにも、インフルエンザワクチンの接種が推奨されるでしょう。
デング熱ワクチンの接種からは、原則2週間以上あけてインフルエンザワクチンを接種してください。詳しくは担当医にご確認ください。
インフルエンザワクチンの接種のための予約は不要です。次項をご覧の上、ご都合の良い時に予約なしで、担当部署の受付にお越しください。
タイでのインフルエンザ感染者数のピークは7月~10月と2~3月です。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が比較的急速に現れるのが特徴です。併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻水、咳等の症状も見られます。お子様ではまれに急性脳症を、御高齢の方や免疫力の低下している方では細菌による肺炎を伴う等、重症になることがあります。
潜伏期間は通常1日~3日で、発症直前から、発病後3日程度までが感染力が特に強いとされています。
インフルエンザを予防する有効な方法としては、以下が挙げられます。
インフルエンザワクチンは、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効と報告されております。
流水・石鹸による手洗いは手指など体についたインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法であり、インフルエンザに限らず接触や飛沫感染などを感染経路とする感染症の対策の基本です。インフルエンザウイルスにはアルコール製剤による手指衛生も効果があります。
空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。
体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日ごろから心がけましょう。
インフルエンザが流行してきたら、特に御高齢の方や基礎疾患のある方、妊婦、体調の悪い方、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。やむを得ず外出して人混みに入る可能性がある場合には、ある程度、飛沫感染等を防ぐことができる不織布(ふしょくふ)製マスクを着用することは一つの防御策と考えられます。
季節を問わず、また、新型コロナウイルス対策としても、十分な換気が重要です。
一般家庭でも、建物に組み込まれている常時換気設備や台所・洗面所の換気扇により、室温を大きく変動させることなく換気を行うことができます。常時換気設備や換気扇を常時運転し、最小限の換気量を確保しましょう。

河野 春香 医師 (サミティベート病院スクムビット)
産婦人科専門医。昭和大学病院、昭和大学横浜市北部病院、昭和大学江東豊洲病院にて周産期母子医療センターで勤務。 腹腔鏡による婦人科手術も多数執刀経験あり。2023年6月からタイ駐在に帯同。2児の母として子育てにも奮闘中。
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尾﨑 岳 医師 (サミティベート病院スクムビット)
医学博士。外科専門医。消化器外科専門医・指導医。がん治療認定医。産業医。関西医科大学医学部非常勤講師。関西医科大学消化器外科および大阪府済生会泉尾病院を経て来タイ。当院では入院患者さんの訪室、無料の医療相談、またご希望があれば外来時の説明や手術前の相談など幅広く日本人患者をサポート。趣味はゴルフ。実用タイ語4級取得。
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火・木・土 9:00-15:00
日本人医師による無料医療相談タイに渡航予定がありその他のワクチン(狂犬病、デング熱等)の接種もご希望の方はタイで推奨される予防接種・ワクチンをご覧ください
参考文献
[1] Journal of the Pediatric Infectious Diseases Society, Volume 9, Issue Supplement_1, March 2020, Pages S10–S14, https://doi.org/10.1093/jpids/piz083
[2] Rose MA, Stoermann J, Bittner-Brewe J, Rosewich M, Eickmeier O, Schulze J. Effectiveness, tolerability a n d patient satisfaction of paediatric live-attenuated influenza immunization (LAIV) in routine-care in Germany: a case-control-study. Trials Vaccinol 2013;2:49-52.doi: 10.1016/j trivac.2013.09.003
[3] Christopher S. Ambrose, Xionghua Wu, Markus Knuf, Peter Wutzler, The efficacy of intranasal live attenuated influenza vaccine in children 2 through 17 years of age: A meta-analysis of 8 randomized controlled studies,Vaccine, 2012; 30 (5). doi.org/10.1016/j.vaccine.2011.11.104.
[5] Pebody R, Sile B, Warburton F, et al. Live attenuated influenza vaccine effectiveness against hospitalization due to laboratory-confirmed influenza in children two to six years of age in England in the 2015/16 season. Euro Surveill. 2017;22(4):30450. doi: 10.2807/1560-7917.ES.2017.22.4.30450
[6] https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090924-04.pdf
日本小児科学会「インフルエンザ予防接種の推奨と注意点について」:https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240909_keibi_i_vaccine.pdf
8 Soi Laemket, Jermompol Rd., Sriracha Chonburi 20110
サミティベート病院シラチャーは、 バンコクから東に120km、国際的な観光地であるパタヤの手前、日本人が多く住むチョンブリ県シラチャー市の海沿いに位置しています。
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