
ゴルフを始めたばかりの頃。若いゆえに身体にはバネがあり、ボールもよく飛びました。でも、スコアはぱっとしないどころか、途中でカウントするのをやめたくなるほど。一緒にラウンドしていた親以上に歳の差がある人に軽くおいていかれることもありました。そういうのが悔しくて練習場に通い、仕事を休んで平日にコースへ出たりと、一時期は何かにとりつかれたようにゴルフに夢中でした。
それでもなかなかゴルフが上手くならないというか、上手くいかない。「遊びなんだから、きりきりしないでリラックス!」と同じ組で回っている先輩が声をかけてくれるのですが、それでかえって頭に血が上ってしまう。そうなってくると、楽しいはずのゴルフがどんどん辛くなってくるのです。励ましの言葉が皮肉に聞こえ、30センチのパッティングも外してしまう始末。それでもゴルフは楽しくて、辛い思いをするのがわかっていても、またティーグランドに立ってしまうんですね。
ところがある時、もしかしたらゴルフって想像以上に人格が関わるんだなと気づいたんです。ゴルフは自分自身との闘いだといわれますが、まさにその通り。同じコンディションのコースを舞台にスコアという数字で競うわけですが、誰かと直接ぶつかり合ったりするのではなく、自分に課せられたプレッシャーとどう折り合いをつけるかが鍵。ミスがあるともちろん動揺するのですが、それを抑えながらできるだけ平常心を保ってプレーしなければなりません。事実、朝一のティーショットで「あのバンカーを越えてやる!」とイキっていても、ホールを重ねるうちに心が落ち着いてきて、いつの間にか無理のないゴルフをしていることもあります。ゴルフは人格を映し、18ホールが終わる頃には少し自分の扱いが上手くなっている。それもきっと、ゴルフという心のスポーツの素晴らしさなのでしょう。
文・吉田一紀