このページでは、多くの人が経験する「痔」について、その症状、原因、種類、そして治療法を詳しく解説しています。特に、便秘や長時間の排便、偏った食生活などが主な原因として挙げられ、痔には内痔核と外痔核の二つのタイプがあること、そしてそれぞれの進行度に応じた治療法があることを説明しています。さらに、血便などの症状は痔だけでなく大腸がんなどの深刻な病気の可能性もあるため、自己判断せず専門医の診察を受けることが重要です。
痔は、多くの方が経験する身近な病気です。しかし、おしりの近くにできるデリケートな部分の疾患であるため、誰にも相談できず、一人で悩みを抱え込んでしまう方も少なくありません。
もし、おしりに違和感や症状を感じたら、恥ずかしがらずに専門医に相談することが大切です。特に、血便は必ずしも痔だけが原因ではありません。この記事では、痔について詳しく解説し、どのような症状が出たら病院を受診すべきか、またどのような治療法があるのかをご紹介します。
痔とは、肛門周辺の血管が腫れたり、炎症を起こしたりしてできる病気です。肛門には多数の小さな血管があり、この血管が腫れたり炎症を起こしたりすることが原因で発生します 。
痔ができる原因はさまざまですが、主なものとして以下が挙げられます。
痔は主に2つのタイプに分けられます。
直腸の内側にできるタイプで、通常は外からは見えにくく、手で触れても分かりにくいことが多いです。診断には大腸内視鏡検査が必要になる場合があります。
大きさによって4つの段階に分類されます 。
肛門の外側の皮膚の下にある血管が腫れるタイプです。外から見たり触ったりして確認できます。炎症を起こすと痛みが強くなる傾向があります。内痔核と外痔核が同時に発生することも少なくありません 。
痔の症状はタイプや重症度によって異なりますが、一般的な症状には以下があります。
これらの症状、特に痛みや分泌物(膿)は、痔瘻(じろう)の症状と似ている場合があります 。
血便や肛門周辺の症状がある場合、それが必ずしも痔であるとは限りません 。特に、以下のような疾患でも同様の症状が見られることがあります。
特に、痔と大腸がんの症状は似ていることがあるため、正確な診断を受けることが非常に重要です。若年層でも大腸がんは発生するため、高齢者だけでなく若い方も注意が必要です。
以下のような症状がある場合は、できるだけ早く専門医の診察を受けてください。
専門医は、まず患者さんの症状や病歴を詳しく聞き取ります。次に、肛門周辺の皮膚の状態を視診・触診し、赤み、膿、出血などを確認します。内痔核の場合、大腸内視鏡検査が必要となることがあります。特に、他の深刻な疾患(大腸ポリープやがんなど)の可能性を除外するために、大腸内視鏡検査が推奨される場合があります。複雑な痔瘻が疑われる場合や、病変が見つけにくい場合には、MRI検査がより詳細な情報を提供し、正確な治療計画を立てるのに役立ちます。
痔の治療法は、症状や重症度、痔のタイプによって異なります。
軽度の場合や、再発予防のために非常に重要です。
症状が重い場合や、セルフケアで改善しない場合は、医師による治療が必要です。治療には、薬物療法、非外科的処置、手術療法があります。
・症状を和らげるために、軟膏や坐薬が処方されることがあります。内痔核には坐薬が効果的ですが、外痔核には使用できません 。
・注射療法 (硬化療法): 痔核に化学溶液を注入して小さくする方法です。比較的痛みが少なく、外来で行えます。
・ゴム輪結紮術 (Rubber band ligation): 内痔核の根元に小さなゴムバンドをかけて血流を遮断し、痔核を壊死させて脱落させる方法です。専門医の管理下で行われるべきで、感染などのリスクに注意が必要です。抗凝固剤を服用している患者さんには適用できません。
外痔核や進行した内痔核(ステージ3、4)に適しています。手術の原則は、痔核を完全に取り除き、再発を防ぎ、同時に肛門括約筋を保護することです。括約筋を傷つけると、便失禁につながる可能性があるためです。手術方法の選択には専門医のスキルが非常に重要です。
◦痔核切除術 (Hemorrhoidectomy):
問題のある大きな痔核を切除する方法です。再発率は低いですが、術後の痛みを伴うことがあります。
◦スタップラーによる痔核手術 (Stapled hemorrhoidopexy):
主に大きすぎない内痔核に用いられます。ただし、内外痔核を合併している場合には不向きなことがあります。
◦レーザー治療 (Laser):
比較的軽症の痔核に用いられ、レーザーで痔核組織を焼灼します。比較的新しい方法ですが、コストが高い割に注射療法と効果に大きな差がなく、長期的な再発率も高いという指摘もあります。
◦ドップラーガイド下痔動脈結紮術 (Doppler-guided hemorrhoid artery ligation):
小さな内痔核に用いられ、超音波で痔核に流れ込む血管を探し、結紮して血流を遮断する方法です。痔核自体は切除しません 。
痔瘻は、肛門周囲膿瘍が慢性化した結果として発生することが多い病気です。肛門周囲膿瘍は、肛門腺(肛門管にある分泌腺)が詰まり、細菌感染を起こして膿がたまった状態です。この膿瘍が皮膚を破って外に出口を作り、肛門管の内部の開口部と外部の皮膚の開口部を結ぶトンネル(瘻管)ができたものが痔瘻です。
痔瘻の症状には、肛門周辺の痛み、腫れ、赤み、熱感に加え、膿や粘液、血液の排出などがあります。これらの症状は痔と似ていますが 、痔瘻は自然に治ることはなく、再発を防ぎ、完治させるためには手術が必要です。痔瘻の手術は、肛門括約筋に関わるため、便失禁を防ぐためにも専門的な知識と経験を持つ医師による執刀が非常に重要です 。
前述の「要注意!痔以外の病気の可能性も」の項で挙げた症状や、痛み、膿の排出など、気になる症状がある場合は、早めに専門医の診察を受けることを強くお勧めします。早期に正確な診断を受けることで、適切な治療が迅速に行われ、予後も良くなります。
肛門周辺の疾患はデリケートであり、痔や痔瘻の治療、特に手術には専門的な知識と経験が求められます。適切な診断と治療を受けるためには、大腸肛門外科を専門とする医師に相談することが望ましいでしょう。当院には消化器系、特に大腸肛門外科分野に専門性を持つ医師が在籍しており、複雑な痔瘻手術におけるLIFTS法など、先進的な技術にも対応しています。これらの分野で豊富な手術経験を持ち、疾患のあらゆる側面を深く理解しているため、患者さん一人ひとりに最も適した効率的な治療計画を作成することができます。
手術当日の流れを詳しく説明しています。
大腸内視鏡検査・痔の手術を受ける方へ
手術をする場合の2泊3日の入院費用
108,500バーツ~
※費用は事前の予告なく変更することがあります。
症状によって違いますが、最短の場合は以下通りです。
外来:初診
入院:症状によりますが、最短1泊2日
外来:退院してから1週間後の再診
土、日、祝も手術可能です。
尾﨑 岳 (おざき たかし) 医師
サミティベート病院 医療コーディネーティングドクター
消化器外科専門医・指導医。がん治療認定医、関西医科大学医学部非常勤講師。関西医科大学消化器外科および大阪府済生会泉尾病院を経て来タイ。当院では入院患者さんの訪室、無料の医療相談、またご希望があれば外来時の説明や手術前の相談など幅広く日本人患者をサポート。趣味はロードバイク。実用タイ語4級取得。
・在院スケジュール
火曜日~土曜日 7:00-17:00
・医療相談 (詳細は下記をクリックしてください)
火・木・土 9:00-16:00
参考文献
Excerpts from "Anal Fistula - Symptoms, Diagnosis and Treatment"
Excerpts from "Blood in Stool Treatment in Bangkok | Causes, Symptoms, and Treatment Options"
Excerpts from "Hemorrhoids - Prevention and treatment | Samitivej Hospital, Bangkok"
Excerpts from "The LIFTS Technique for Fistula-in-Ano"
Excerpts from "What Do Hemorrhoids Mean for Your Health?"
Excerpts from the transcript of the video "รู้จักกับนพ. ภัคพงศ์ วัฒนโอฬาร ศัลยแพทย์ผ่าตัดส่องกล้อง (ผ่าตัดแผลเล็ก) โรคระบบทางเดินอาหารและลำไส้"
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