腹腔鏡手術

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腹腔鏡手術

 最終更新日:2024年8月16日


この記事のハイライト

  • 腹腔鏡手術は、高い効果と幅広い適応のある手術であり、腹部にわずか 0.5 ~ 1 cm の小さな切開(穴)を 2 ~ 4 か所に開けて行うことができます。
  • 腹腔鏡手術の優位性は、回復期の疼痛軽減や出血量の減少、そして、周囲臓器への影響を減らすことができることです。この事により、合併症のリスクを軽減することができます。患者さんは、術後早く回復することができ、日常生活に早期に戻ることができます。

  • しかしながら、患者に与えるリスクを最小限に抑えるためには、豊富な経験を持つ専門の外科医のみが、腹腔鏡手術を行うべきです。腹腔鏡手術は、患者さんに影響を与える手術適応があるため、腹腔鏡手術を受けるかどうかの決定は、主治医と相談の上でするべきです。



    腹腔鏡とは

    腹腔鏡手術はお腹に小さな傷(創)を開け、そこから、小さなカメラや鉗子を挿入することにより、腹腔内臓器の評価を行います。低侵襲手術の一つであるこの方法には様々な利点があります。それは、傷跡や術後疼痛、出血量の減少、さらに、周囲臓器に与えるダメージの減少です。これらにより、術後合併症のリスクも減らすことができます。患者さんは、術後、早く回復することができ、日常生活に早期に戻ることができます。

    しかし一方で、患者さんへのリスクを最小限に抑えるためには、十分な経験を持った専門医のみが腹腔鏡手術を施行するべきです。加えて、腹腔鏡手術は、患者さんの状態などによる手術適応があるため、腹腔鏡手術を受けるかどうかの決定は、主治医と相談の上でするべきです。

     

    腹腔鏡手術の種類

      腹腔鏡下胆嚢手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)

      この手術は、胆嚢を摘出するための手術の一種で、最近では胆石の治療に幅広く行われています。 他の疾患や合併症を考慮する必要がある場合を除き、胆嚢を切開して胆石を除去することは勧められていません。なぜなら、胆嚢を切開し結石のみを摘出しても、新たに石が形成されるリスクがあるためです。 したがって、腹腔鏡下胆嚢摘出術は、低侵襲手術であることも一つのメリットですが、胆石に対する治療として、最も効率的かつ効果的な治療法の 1 つと考えられています。この手術は、開腹手術に比べ痛みと合併症を最小限に抑えることができます。胆嚢炎や胆のうを取り囲む組織やその他、手術に影響を与える因子が術前診断では分からなかったことが、腹腔鏡手術中に発見されることがあります。これらの状況によっては、外科医の判断で、開腹手術へ術式を移行する可能性があります。このような判断は、術中、執刀医の判断に委ねられます。

      腹腔鏡下虫垂切除術

      この手術は炎症のある虫垂をお腹の傷を通して、体外へ摘出する手術として行われています。この低侵襲手術は、合併症を起こしにくいため、回復までの期間が短く、日常生活への復帰も早いという利点があります。しかしながら、この術式にも限界があります。それは、腹腔鏡手術が適応とならないほどに、虫垂炎の炎症が高度な場合や周囲臓器まで感染が広がっている場合などです。さらに、この術式においても、患者に与えるリスクを最小限に抑えるためには、豊富な経験を持つ、専門の外科医のみが施行するべきです。サミティベート病院(バンコク)外科のページはこちら。

      腹腔鏡下ヘルニア形成術

      ヘルニア(鼠径ヘルニア)の治療に用いられる腹腔鏡手術の一つで、腹部に小さな切開を作り、そこに腹腔鏡やその他の器具を挿入してヘルニアを治療します。病変部にメッシュを置き、補強のための追加縫合を行って、手術を終了します。サミティベート病院(バンコク)整形外科のページはこちら。

       

      腹腔鏡下結腸切除術

      結腸の一部、または全体を切除する腹腔鏡手術の一つで、結腸がん、腸閉塞、慢性潰瘍性大腸炎などの結腸疾患の治療に施行されます。治療方法は、腹部に長さわずか 0.5 ~ 1 cm の切開を作り、そこに腹腔鏡と手術器具を挿入して手術を行います。

       

      腹腔鏡下癒着剥離術

      直腸手術や子宮摘出などの手術をした際に癒着のリスクがあります。この癒着は内臓の周囲に膜を形成することが多いです。繊維状・膜状の癒着が腹腔内や腸管の間に形成され、腫れや疼痛を引き起こす可能性があります。この手術方法は、癒着を取り除き、癒着に関連した疼痛を緩和するために施行されます。 

      腹腔鏡下胃切除術

      この腹腔鏡手術方法は胃の一部および胃の全てを摘出するために用いられる術式で、胃がんや消化管穿孔の治療、胃の一部または全体を切除する場合に用いられます。合併症のリスクを減らすのにの効果的な方法で、術後の傷跡も最小限に抑えられます。

      腹腔鏡下婦人科手術

      婦人科疾患の治療に使用されるとても効率的で効果的な手術です。 腹部から腹腔鏡を挿入し、骨盤領域の婦人科疾患を診断、治療する際に用いられます。 この治療法は以下の様な疾患や診断に適しています。サミティベート病院(バンコク)産婦人科ページはこちら。

      •  様々な卵巣嚢腫
      •   子宮筋腫
      •   子宮内膜症
      •   骨盤癒着
      •   初期の子宮内膜がん
      •   初期の子宮頸がん
      •   避妊手術
      •   子宮外妊娠
      •   特発性および慢性の骨盤痛の診断と治療
      •   不妊症の原因となる問題の検出と卵巣疾患の診断

      経管腔的内視鏡手術 (NOTES)

      経管的手術は腹腔鏡手術の技術を用いて発展した手術方法の一つです。この方法は、経口的、経直腸、経膣など、経管的に腹腔鏡を挿入する方法です。それゆえ、体に傷跡を残さないように希望する患者さんにとっては、良い方法となります。

       

      NOTESの一例としては、経膣的に骨盤内領域の手術を行う方法です。経管的にアプローチできるのは、腹腔鏡のカメラや鉗子のサイズが小さいために可能となっています。加えて、この手術は、経管的に施行されるので、手術の傷跡が残ることがなく、腹部の傷跡を残したくない患者さんを含め、多くの患者さんにとって有益な手術法となります。この手術を受けた患者さんは、他の腹腔鏡手術を受けた患者さんに比べて、ごくわずかな背部痛を認めるくらいの傾向にあります。この術式では、回復までの期間も、より早まります。しかしながら、この術式の適応は限られており、最終的には、主治医が個々の状況を評価した上で、患者さんのニーズに最も適した手術方法を決定することとなり、その責任を担います。

       

      婦人科手術の領域では、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症などの手術で、この術式が選択されることがあります。さらに、経口的な術式も可能であり、この方法では、皮膚切開の必要なく、ある種の甲状腺疾患を治療することが可能となります。

      子宮鏡検査

      子宮内膜の病変の診断および治療に用いられる方法で、子宮頸部からスコープを挿入し、子宮内膜の状況を評価し、腹部を切開することなく、病変部位を治療することができるため、審美的な影響を軽減することができる。加えて、この方法は、術後の背部痛を有意に減少させ、早期の回復が可能になります。子宮内膜の異常の検出や診断、子宮内膜がんの診断、子宮内膜の腫瘍やポリープの診断、受精前の子宮内膜のスクリーニングなど、様々な子宮内膜の処置に対して、婦人科医はこの方法を施行します。サミティベート病院(バンコク)産婦人科ページはこちら。

       

      腹腔鏡手術の方法

      腹腔鏡手術は、患者さんの腹部に0.5-1.0cmの皮膚切開を2-4ヶ所行い、そこから、腹腔鏡や鉗子を挿入し、手術を行います。腹腔鏡のカメラは、患者さんの腹腔内の状況を高解像度の画像でモニターに写すことにより、外科医は適切に鉗子を操作することができます。この事により、より高度な次元で、正確性と安全性を保つことができます。腹腔鏡の手術操作が終了したら、カメラと鉗子を抜去し、創部を縫合します。

       

      タイ国内での腹腔鏡手術

      タイ国内には、様々な分野で経験豊富な、熟練した外科医がいます。バンコクのサミティベート病院の外科医は、技術のさらなる向上のために国内外で専門的なトレーニングを受けています。最も重要なことは、当病院において、外科医、麻酔科医、看護師、それぞれのプロフェッショナルの間での、高いレベルでの協力関係があることです。当病院の手術室は、国際的水準の医療を提供するために使用される、医療器具と最新技術を備えた“クリティカル・ケア・コンプレックス”です。我々が作り上げた“クリティカル・ケア・コンプレックス”は、タイにおける卓越した医療の新たなベンチマークとなり、強力な先進的技術を提供します。

      高解像度の3Dイメージモニター

      3D-4K技術は今まで以上にクリアーな3次元画像を外科医に提供します。これらの高解像度モニターと3D画像は高解像な腹腔内臓器画像を視認することができ、目標物までの距離をより正確に認識し、鉗子をより正確に操作できるようになります。このシステムは現実の色に極めて近い色を表示し、陰影を減少させたり、モニター上でさらに鮮明にさせたりするような設定も持ち併せています。これら全てが、偶発症の可能性を減少させ、手術時間を短縮し、安全性を高めることを可能にします。

       

      光量調節を備えた3D腹腔鏡

      外科医は、手術を始めるにあたって、適切な光量と温度を設定することができ、今までのモデルでは影になっていた部分を照らすことができるため、より明確に手術部位を視認することができます。このことよって、手術の正確性と有効性が向上し、手術の質自体も改善し、さらには、手術時間の短縮にもつながります。

      ブルーライトテクノロジー

      このシステムは、手術中に表示される画像をより鮮明化することにより手術時間を短縮させ、結果的に患者の回復期間を早めることができます。

      抗菌処置を施している手術室

      当院の手術室は、タイで初めて特殊コーティングを施したガラス壁を導入しています。シームレスのため、洗浄しやすく、細菌増殖の可能性が低いため、感染のリスクを大幅に低減できます。また、放射線の漏洩予防のために、壁には鉛がはめ込まれています。

      層流システム

      空気清浄システムによって、手術室エリア内のあらゆる場所にフィルターろ過された空気を送り、様々な手術で懸念される感染のリスクを低減します。

      手術室エリアの陽圧管理

      当院の手術室は、特別に設計された陽圧環境となっており、ホコリや空気中の細菌を除去するとともに、手術室をドアを開けたとしても、あらゆる細菌の手術室への侵入を防ぎます。これにより、常に最高レベルの清潔さが保たれます。

      滅菌消毒

      当院の洗浄および消毒を行うためのすべての器具は、医療認定を受けた器具を使用しています。

       

      この記事の監修医師

      Pakpong Wathanaoran, M.D.

      外科医

      Santi Pongphantarak, M.D.

      産婦人科医

      専門分野 婦人科内視鏡手術

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