タイでクギを踏んでしまった時の対処方法

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タイでクギを踏んでしまった時の対処方法

スクンビット・ソイ49を歩いていた時のこと…
何かを踏んで足の裏に激痛を感じ、立ち止まって足の裏を見てみると、ぎゃーっっクギが刺さってる!!!
慌ててクギを手で引き抜いて、観察。不幸中の幸い、錆びたクギではない。しかも短い。
クギはその場に捨てて(ごめんなさい)、とりあえず目的地に向かいました。

どうして踏んでしまったのか?

何度も歩いている道ですが、いかんせん歩道がなくて…。道行く車に注意することに気を取られてしまって、足元を全く見ていませんでした。
それから、靴。バンコクのでこぼこ道でも歩きやすいので、ぺたんこの、底が柔らかいパンプスを履いていました。
それがあだとなり…見事に靴底を貫通して、皮膚までクギが届いてしまいました。

クギを踏んでしまった時

応急処置

さて、目的地までひょこひょこ歩いて行って、靴と靴下を脱いで見てみると、足の中指の付け根あたりに少しだけ出血あり。
幸い、出血は多くなくもう血は止まっていたので急いで傷口を流水と石鹸でしっかり洗いました。
消毒液が手元にあれば消毒した方がいいです。

病院に行きましょう

ここからが、一番大切です。クギ(特に錆びた古いクギ)、泥が付いたガラス片、土のついた木の切り株、など汚れたもので深い傷をつくりやすいものは、意外に身の回りにあるものです。
このような物でできてしまった傷口は消毒したり、縫ったりすればOKということではありません。このままにしておくと後日、命にかかわることになりかねません。
「破傷風」という病気をご存知でしょうか。

破傷風の概要

破傷風は、破傷風菌により発生し、かかった場合に亡くなる割合が非常に高い病気です。以前は新生児の発生もみられましたが、近年は30歳以上の成人を中心に患者が発生しています。主に傷口に菌が入り込んで感染を起こし毒素を通して、さまざまな神経に作用します。
口が開き難い、顎が疲れるといった症状に始まり、歩行や排尿・排便の障害などを経て、最後には全身の筋肉が固くなって体を弓のように反り返らせたり、息ができなくなったりし、亡くなることもあります。
(以上、厚生労働省・破傷風のページより)

破傷風菌は世界中の土壌のいたるところに存在し、日本でも毎年患者が発生しています。
世界で年間約7万人が死亡し、日本では年間10~15人が死亡している恐ろしい病気です。
傷口から破傷風菌が入り込み、全身に症状が出始めてしまうと、自然に毒が消えるまで場合によっては人工呼吸器を使った集中治療を 一ヶ月ほど続けなければいけなくなってしまいます。
こうならないためには発症の予防が一番大切です。傷口をきちんと洗って消毒をしたら、急いで病院に行きましょう。

病院では

「クギを踏んだ」という方への診療は、外科で行います。外科にて医師が問診をしたのち、傷の状態や「破傷風の予防接種」の履歴を確認し、必要に応じて、暴露後の「破傷風トキソイド」の予防接種を打つことになります。
なお、日本での破傷風ワクチンは1968年(昭和43年)から始まった3種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日咳)に含まれていますので、定期予防接種で破傷風・ジフテリアワクチンを12歳の時に受けていれば、20代前半位までは免疫があります。

ただし、高い免疫を維持するためには、前回の接種から10年を過ぎた方は追加接種が必要です。成人してから追加接種を受けていないという方で、泥や便に汚染されていることが疑われるものでケガをした時には「破傷風トキソイド」の予防接種を打っておくと安心です。

なお、1968年以前に出生した世代では、破傷風毒素に対する基礎免疫を持たない人も多いので、接種を積極的に検討した方が良いかもしれません。日本でも、経年による抗体値の低下が懸念されるため、40代以上への接種が奨励されています。
なお、小児の時にワクチンを打っていた方は、1回の追加接種で10年間有効な免疫がつきます。私も、外科にかかり、予防接種を1本打ってもらいました。

まとめ

  • バンコクの道を歩くときは、足元にも気をつけましょう。
  • バンコクの道では、安全のため、足を守れる靴を履いた方が良いです。
  • クギを踏んだら、破傷風予防のため、病院にかかりましょう。

参照

厚生労働省検疫所:海外渡航のためのワクチン

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